【体験談】本社への「エース栄転」が絶望の始まりだった。伝統的大企業(JTC)の中枢で私が『茶坊主』になり、心を壊すまで

【40代の生存戦略】組織の不条理とキャリア再構築

 旧帝国大学を卒業し、知名度はあまりなくとも優良とされるJTC(伝統的大企業)に入社した私は、地方支社での業績を認められ、本社の企画部署へ栄転しました。当時は20代。やる気に満ち溢れ、自分のキャリアがピークに向かっているという高揚感の中にいました。

 しかし、そこから始まったのは、華やかな「出世コース」とは程遠い、自分自身の価値を見失っていく残酷な日々でした。同じような境遇にいる方に、この記録が届くことを願っています

 なお、本記事は、鬱病になるまでの経緯のみであり、寛解・職場復帰の記事は次回以降となります。同じような境遇の人に読んでもらえれば、嬉しいです。

本社への栄転。20代の私が「エリートの階段」にときめいた瞬間

 社会人になり、仕事にも慣れ、多くのお客さんにかわいがっていただいていた頃、私に「本社栄転」の辞令が下りました。

 当時の弊社は、支社の営業力が強かった時代から、トップの交代を機に本社へ権力が集中しつつある過渡期でした。その中でも特に力が入れられ、エース級が集まる部署の「最若手」として配属された私は、本当に嬉しかったのを覚えています。まさに、順風満帆な人生そのものでした

想像とは真逆の「茶坊主」業務。失われた主体性と残業の重み

 しかし、配属されて待っていたのは、想像していた「中枢での企画立案」ではなく、実質的には役員たちの「茶坊主」のような仕事でした。

  • 会議室の予約
  • 支社への指示文書の作成
  • 役員と部長クラスの打ち合わせ調整

 支社時代は、最終決定権こそ上司にありましたが、実質的には自分が担当として仕事をまとめ上げる「手応え」がありました。しかし本社の仕事は、自分の介在価値が感じられない調整業務ばかり。

 親戚のおじさんに本社配属を報告した際、「役員会の茶坊主をやってるんやな」と揶揄されムッとしたことがありましたが、今振り返ればその通りだったのです

 支社時代の「自分で動く残業」と、本社での「指示に追われる残務処理」では、精神的な疲労の度合いが全く違いました

「今の場所で『必要とされていない』と感じても、別の場所ではあなたの経験が『喉から手が出るほど欲しい』と言われるかもしれません。自分の市場価値を客観視することで、組織への過度な執着を捨て、心に余裕を取り戻しましょう」

暗黙のルールと孤立。「なぜ聞かないのですか?」という問い詰め

 本社には、明文化されていない独自の記載ルールや、支社長宛て文書における「暗黙の作法」が無数に存在していました。それらを知らなかった私はミスを連発し、次第に上司に迷惑をかけ、部署内で孤立していきました。

上司からは「なぜ調べないのですか?」「なぜ聞かないのですか?」と問われましたが、そもそも「調べなければならないルールが存在すること」自体が、当時の私の頭にはなかったのです

上司からの「ぐさりと刺さる言葉」の刃

 支社時代は、上司によっては、机をたたいたり、個室に呼ばれたうえで1時間程度罵倒してくる人もいました。その当時は精神的に辛かったのですが、周りの先輩や隣の部署の管理職から慰めてもらったりし、精神的に病むことはありませんでした。

 慣れてくると、「今日も〇〇課長は元気に机叩いているな。手痛くないのかな、音に合わせて動く猿の人形とか机の上に置いたら、結構シンバルとか叩くのかな」と考えたりする余裕もありました。

 一方、本社の上司は、紳士的で、スマートな仕事ぶりであり、一般的なパワハラとは無縁な感じでしたが、一言一言がぐさりと私の心に刺さりました。

Q「どうしてこのような失敗をしたの?時間がないのですか?能力がないのですか?自覚がないのですか?」
A「時間がなく、焦っていました」
⇒「あなたの仕事量としては、それほど時間がキツキツとは思えません。時間がないなら、なぜ始業時間の前に来て、PCを付けずに書類を読んだり、勉強しないのですか?」

A「能力的に少し足りないのかもしれません」
⇒この部署に配属されるのであれば、能力がないという事はないと思います。自分を卑下するのはやめてください。それにもし能力がないと本当に感じているのであれば、なぜ勉強しないのですか。


身体の悲鳴。会社のトイレで泣いてから入室する日々

 やがて、身体に支障が出始めました。夜、布団に入っても当日指摘されたことを思い出し、一睡もできなくなりました。焦って酒を飲み、無理やり眠る。当然、翌朝の寝起きは最悪です。

 遅刻こそしませんでしたが、始業時間ギリギリに出社する私に対し、周囲からは「仕事もできないのに重役出勤だ」と悪評が立ちました。上司からは「やる気があるのか」と叱責され、さらに追い詰められていきます。

 出社前にお腹が痛くなり、会社のビルを見ると胸が詰まる。 毎朝、会社のトイレで泣いてから業務室に入る。 それが、当時の私にできる、精一杯の「準備」でした。

そして、ついに「Xデー」が訪れます。(続く)

「寝酒は解決策にはなりません。壊れ始めたリズムを整えるために、今のあなたに寄り添うサポートを取り入れてください。自分の心を守る決断は、何よりも優先されるべき仕事です」


 そして、Xデーは訪れる。(続く)

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