【書評】会社がイヤになった~やる気を取り戻す7つの物語/菊入みゆき

うつ病再発防止に向けたサラリーマン生活
概要

 毎日8時30分~22時まで仕事。同期は管理職に昇進ながら平社員のままの私。

昇進・昇給の希望もなく、業務にやりがいもない私がふと手に取った1冊。

 題名だけをみて読み始めたので、やる気を出すhow to 本、テクニック論等

と思いきや、若手、中堅、初任管理職、上級管理職、退職後といった7つの物語。

 サラリーマンを題材とした小説が中心。

 主人公の思い通りになる場合、ならない場合それぞれの物語ながら、

最後は希望が持て、読後に私ももう少し頑張ってみようかなという気持ちになれる1冊。

 今、置かれている自分自身の環境に似ていると涙することもあれば、

あ~こういう気持ち(若手時代)もあったなぁと懐かしく思う気持ちになることも。

 電車の中で恥ずかしながら少し涙ぐんでしまいました。

第1章 結果が出ない

あらすじ

 主人公は保険会社の営業の2~3年目の若手社員。

営業所の庶務の下っ端ということでやりながら、営業の仕事を実施。

営業所の人間関係は悪くなく、成績もボチボチながら、あまり充実感のない日々を過ごしている。

 営業所の所長に外資系出身の結果重視の敏腕所長が就任したことが

充実感のなさ・モヤモヤを改めて本人が自覚するきっかけとなる。

感想

 同期との評価の違いへの焦り。

結果だけでなく、結果を出すためにどれだけ頭をひねったかを見てくれていた上司への思い。

 30代後半になり、会社への希望もなく、惰性で過ごしている私が忘れていた気持ちを

思い出させてくれた内容。

 第1章の主人公のようによしやってみるかとなるか、その気持ちをごまかすのかは

年齢ではなく、本人次第なのだろうが・・・。

第2章 本流にいない

 あらすじ

 主人公は、繊維メーカ―の広報部の主任。30歳。

広報の日常業務はほぼ一人でこなし、やる気ない課長のもと彼女と結婚を考えている。

主人公の勤める繊維メーカーでは広報は傍流で、営業が本流。

今後の社内でのキャリアをどうするかぼんやりとした不安がある中、

彼女の紹介してくれた各社の広報が集まる集まりに参加。

広報にプライドを持ち、専門性を高める社外の仲間に刺激を受ける。

そんな中、営業所の係長への異動の内示が出される。

感想

 支社・営業所の勤務だった入社~20代後半。

30歳手前にして本社のトップ肝いりの新設の企画部門に配属の内示を見たときの

不安感と期待感の入り混じったドキドキを電車の中で思い出しました。

 結局、私はそこで「うつ」になり、出世コースは絶たれましたが、30歳前後の

仕事はもう回せるけど、今後自分の社内の人生どうなるんだろうなぁ~といった

漠然とした思いが思い出される第2章。

第3章 上司とプライドの狭間で

あらすじ

 主人公はおもちゃや雑貨を扱う会社に勤めている営業職の30代半ばの女性。

役職は明示されてはいないが、課の中心的な存在。係長クラスといったところ。

 仕事熱心ではない上司に最後の美味しい所を取られる等

モチベーションは下がり気味。

 顧客のカウンターパートナーから評価されている事を知り、それをきっかけに主人公は

変わっていく。

感想

  上司に美味しい所を取られる感覚。これは凄いわかる。

上司としては美味しい所を取っているという認識はないのだろう。

また取引先との折衝に置いて、管理職の発言と担当の発言は同じ事を言っていても

重みが違うのは重々わかっている。それでもモヤモヤした気持ち。

 本章の主人公は、取引先のカウンターパートナーから評価されている事を知り、

それをきっかけに、むしろ上司を利用してやろう、操縦してやろうと前向きに。

 私はそこまで前向きにはなれないが、ラインの上司・後輩以外の思わぬ人に

評価されている事を知るうれしさは痛いほどわかる。

第4章 転職のラストチャンス

 あらすじ

 主人公は大手食品会社の研究開発部の40代前半の課長。

研究開発メインながら営業も経験し、課長に就任。社内での評判は概ねよいが、

もう役員まで上り詰めることもないこともわかっている。

 がむしゃらに働いてきた中、健康診断の再検査の知らせ、一回り規模の小さい会社からの

研究開発部長職へのヘッドハンティングの誘い。

 これらがきっかけになり、本章の主人公は家族との関係、仕事について改めて考える。

感想

 管理職になっていない私には辛い章だった。

本章の主人公は、第3章までの主人公とは異なり、プレイヤーからマネージャーへと

飛躍していく。

 モチベーションを自らの業績に加え、部下・後輩の育成へと変えていく。

私自身の焦りに繋がる章であった。

第5章 人生の宿題

 あらすじ

本章の主人公は40代中盤の有能社長秘書の女性。準主人公は主人公の同期の

40代中盤の転職組の本社の営業課長。

 主人公は独身で子供も望んではいない。仕事は細かな悩みはあるものの順調。

ただ人生の宿題を置き忘れてきたような感覚に陥っている。

 そんななか、準主人公の男性課長が社内政治等で阻まれつつ案件を

回りを巻き込みながら解決していく姿をきっかけに代わっていく章。

感想

 本章の主人公の女性は明確には記載はなかったが総合職・一般職の区分でいうところの

一般職に該当すると思われる。

 仕事はできるが、所謂、お局的な立ち位置になりつつある。

結婚・出産という問題、仕事だけにまい進するキャリアウーマンにもなり切れていない悩み。

 仕事人間にもなれず、とはいえ完全なマイホームパパにもなれない私。

そんな中、社内政治という壁を突破していく準主人公の姿は主人公にも私にとっても

眩しく見えた。

第6章 部下が信頼できない

 あらすじ

 本章の主人公は50代のゼネコンの営業部長。

部下の課長は卒なく仕事をするが、淡々としており、やる気や熱い思いが感じられず、

主人公は不満に思っている。

 そんな中、主人公はコーチング研修を受け、自らが話しかけづらい存在であることを知る。

少しずつ変わろうとする主人公。部の雰囲気も良くなってきた矢先。

 主人公は役職定年か出向の打診を受ける。

家族を顧みず仕事一筋だった分、家族からどう思われるのか、

部下を含め、周りから「終わった人」と思われているのではないかと悩み、苦しむ。

だが、意外と周りは・・・。

感想

 課長ですらない私。50代の部長の気持ちがわかるわけないと思いながら

読み進めるととても共感する章であった。

 自分では後輩に優しいと思っていても気分屋と思われていたり、

仕事ができない、もうだめだと思っていても意外と周りはそこまで気にしていなかったり。

 自分自身の自己認識と他者認識はズレが生じている。

頑張ってひたむきにやっていれば、見てくれている人は見てくれていると思おう。

第7章 サラリーマン人生の積み残し

 あらすじ

 主人公は定年退職した60代男性。

妻はパートで働き始め、自分自身は町内会の会長を務める。

町内会の中では若く、周りの意見を聞こうと頑張る。

そんな中、昔、経営者だったと過去に固執する役員に霹靂するが、

最新の組織論、カタカナ英語を多用する自分自身も町内会で同じように見られていたことに気づく。

感想

 週間ダイヤモンド等でもたまに記事にされる定年退職後の大企業の管理職出身の

60代男性が町内会等でつま弾きにされるあるある話。

 正直、サラリーマン人生の半分弱しか過ごしていない私にはまだわからない。

そしてそこまで私は社内でも偉くなれないまま平社員のまま終わるのであろう。

 会社・家庭以外の第三の場所を早めに見つけておいた方がいいのかもしれない。

ただ大企業に勤めているため、企業名を言うとお~と言われるときに虚しい自己満足を

感じている私は気を付けないといけないと思った。

雑感

 本書の発行は2004年。本書は読みやすく、通勤電車の中でも気軽に読める。

読んだ後に本書の発行年が2004年という事に気づき驚く。

本書での若手社員も今では私の上司の課長クラスになっているのかもしれない。

 本書の7人の主人公の「2022年」の今の姿を見てみたい。

コメント

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