あらすじ
張学良による蒋介石の拉致監禁事件である西安事件を題材にした小説。西安事件とは、共産党への討伐を抗日よりも優先する蒋介石に対し、張学良が国共合作・共同抗日戦線を樹立のために起こしたクーデータ事件。
クーデターではあるが、張学良が蒋介石にとってかわることはなく、あくまで国共合作・抗日戦線の樹立のための「諫言」であった。
本書は、西安事件の主要人物の蒋介石・張学良の出番はほぼなく、ニューヨークタイムズ記者のジェームス・リー・ターナー、朝日新聞記者の北村修治、陸軍の上海特務機関員志津による群像劇と、張学良の罪を一身にかぶろうとする張学良の護衛官である陳一豆の法廷劇から構成される。
感想
西安事件の小説というよりはその事件の内容を知ろうとする新聞記者たちの群像劇(そして各々の背景)と張学良の罪を一身にかぶろうとする陳一豆(架空の人物)の法廷劇が中心であった。
歴史小説というよりは、大きな歴史背景がある中で主要人物の考え方・背景等を味わう小説に感じた。
そして張学良が2001年までハワイで存命であることに改めて驚きを感じる。張学良氏が亡くなった時のニュースをみた20年前も学生の私は、歴史上の人物と思っていた人がまだ生きていたことに驚いた事を思い出す。
そうかあれかもう23年経つのか。歴史とは綿々と続くものだなぁ。
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