【書評】「なぜ必敗の戦争を始めたのか-陸軍エリート将校反省会議」(半藤一利編)

うつ病再発防止に向けたサラリーマン生活

 

概要

 図書館でふと見つけた「なぜ失敗の戦争を始めたのか‐陸軍エリート将校反省会議」という本を読んでみました。

 

 著者は、「日本の一番長い日」で有名な半藤一利氏。

 後で知ったのですが、当初、「日本の一番長い日」は営業上の都合(知名度など)から、大宅壮一編で当初出版されたようです。

 半藤一利氏は結構な年齢のイメージで、かなり前に亡くなっているといった先入観がありました。

 本書も昔の本かなぁと思い手に取るとなんと2019年の3月に出版された本でした。本書が出版された際は半藤氏はご存命で、2021年に90歳で亡くなられたようです。

 

 さて、なぜ旧日本軍は戦争を始めたのかといった種類の本はイメージとして失敗の本質や海軍座談会といったイメージが強く、陸軍のイメージはなかったので新鮮で手に取ってみました。

 昭和51年~53年の旧陸陸軍の中堅将校の座談会の内容を改めて半藤氏がまとめて、一部注釈したのが本書。

 従来の単純な陸軍悪玉・海軍善玉論(といってもこの陸軍悪玉・海軍善玉論も令和5年の今、どれほどの人が認識しているのかは不明ですが)ではないといったことが冒頭等に記載されています。

 

 本著の中身というよりも歴史好きサラリーマンが読んで初めて知った事・驚いた点を中心に簡記してみました。

陸軍よりも海軍の方が途中から対米開戦に積極的だったのは意外

 海軍は当初、陸軍よりも開戦に消極的ながら、水師準備が終わってからはむしろ陸軍よりも開戦に積極的だったのは意外でした。

 また対米融和派のイメージが強かった永野修身が結構イケイケ(少なくとも陸軍の中堅参謀からはそうみられていた)だったのは意外。

※アメリカの対日石油禁輸で影響を受けるのは陸軍よりも海軍であり、石油がなければ無敵艦隊から無動艦隊になってしまう事等の背景もあったようです。

政治には介入しないイメージの海軍にも第一委員会という組織があった事は知らなかった

 陸軍は政治に介入し、海軍はあまり介入しないイメージがありました。

 陸軍に対抗する形で海軍も委員会を創設(第一~第四)し、その第一委員会は陸軍も引くくらいの強硬派で固められていたことは意外でした。

南部仏印進駐により対日石油全面禁輸を誰も想定しなかったことに驚き

 アメリカによる対日石油全面禁輸をあまり誰も想定しておらず、対日石油全面禁輸を受け、陸軍も海軍も大慌てになったのは意外といえば意外でした。

 ただし、これは今から見れば、なぜ?となってしまうかもしれませんが、組織人としては結構わかる気がします。

 少なくとも日本の大企業に勤めている人ならば、なんとなくわかるのではないでしょうか。

 社内プロジェクト等、普通に考えたら変だな?と思う事があっても、まぁ企画のエリートが考えているし大丈夫だろう、変に意見を言わないほうがいいかな等・・・?私だけ?

陸軍の「動員計画」に対し、海軍は「出師準備」というのはかっこいい

 出師準備って普通にかっこいいなと思いました。諸葛孔明の出師の表ではないですが、単純に響きがかっこいいなと思いました。

コメント

<スクリプト非同期は、データピンホバー="true"データピントール="true"データピンラウンド="true"src="//assets.pinterest.com/js/pinit.js">
タイトルとURLをコピーしました