「あの頃の自分に、今の姿を想像できただろうか」
旧帝国大学を卒業し、知名度は高くないものの優良な大企業(JTC)に入社した私は、かつて順風満帆な生活を送っていました。地方の支社で業績を認められ、意気揚々と本社の企画部署へ栄転した時は、まさに「出世コース」の真っ只中にいたのです。
しかし、そこで待っていたのは、激務とパワハラで有名な上司の下での日々でした。出社前にトイレで泣く毎日が続き、ついに心身が限界を迎え、8ヶ月間の休職を余儀なくされました。
復職から数年。現在の私は、同期から「一周遅れ」の万年係長です。私が人事部出身の部長から聞いた「休職と評価」の残酷な真実と、そこから見出した生存戦略を綴ります。
※2022年10月の記事を2026年5月にリライトしたものです。
<私のうつ病履歴>
地方の支社にて業績を認められ、本社の企画部署へ栄転。
激務かつパワハラで有名な人の部下になりうつ病になり8か月ほど休職ののち復職。
日常のTwitterにて愚痴を吐き出しているとおり、完全に出世コースから外れています。
期待と裏切り:高評価でも「昇進」だけがスキップされる現実
復職後の数年間、私は「まだやり直せる」と信じていました。 当時の上司に恵まれたこともあり、管理職選抜の準備として役員説明を任され、人事評価も**5段階中2番目の「高評価」**を得ていました。さらに、幹部候補生のみが参加できるイベントに推薦・参加したことで、うつ病経験があっても出世できるのではと大きな期待を抱いたのです。
しかし、JTC特有の「管理職選抜年次」がやってくると、現実は牙を剥きました。
逆転現象の屈辱:私よりも明らかに評価が低い同期や、若手にパワハラをして通報された同期、さらには重大なミスを犯した同期までもが、三次・四次選抜で次々と管理職になっていきました。
抜擢年次(一次選抜)での見送り:高評価にもかかわらず、名前が呼ばれることはありませんでした。
不透明な説明:理由を問うても「諦めるな、チャンスはある」とはぐらかされるばかり。上司が異動すると、評価は真ん中の「3」に落とされました。
人事部長が明かした「有給消化」と「正式休職」の決定的な差
私の状況を見かねた人事部出身の部長が、非公式に確認してくれた結果は衝撃的なものでした。
同じ「うつ病による休み」でも、職務履歴上の扱いによって将来が分かれるというのです。
- 「有給休暇内」の休み(制約なし): たとえ原因がうつ病であっても、有給休暇を使い切る形(欠勤扱いにならない範囲)で休んだ人は、履歴上「単に有給を全て消化した人」とみなされます。人事評価上のマイナスはほとんどなく、管理職登用の道も閉ざされません。
- 「正式な休職」はアウト: 一方で、私のように診断書を出し、正式に「休職届」を受理された者は、「管理職としての精神的重圧に耐えられない」と判断されます。このレッテルが貼られた瞬間、事実上の管理職登用見送りが確定するというのが、JTCの隠された方針でした。
一度管理職になってから休職した場合は降格がないのに対し、昇進前の休職は「入り口」で完全にシャットアウトされる構造になっているのです。
40代「窓際」にもなれない中堅の生存戦略
「出世の道は絶たれた」と悟ったとき、私は絶望しました。 現在の私は、窓際族として悠々自適に過ごしているわけではありません。皮肉なことに、深夜23時や24時まで働く日もあり、若手にバカにされながら日々を過ごしています。「捲土重来を図るには年がいきすぎ、社内ニートになるには若すぎる」。 この停滞感の中で私を救ってくれたのは、以下の「自分軸」の再構築でした。
「失敗」さえもコンテンツにする: 副業として始めたメダカ繁殖が全滅・盗難に遭ったり、YouTubeの再生回数が数回だったり、多肉植物販売が赤字だったりと、私の挑戦は失敗続きです。しかし、実際に手を動かしている間は会社の不満を忘れられます。この「失敗の記録」こそが、私の新たなアイデンティティです
「人生は誤差の範囲」という哲学: 共通テストで720点(800点満点)を取り、人生のピークだと思っていたあの頃。しかし今思えば、学歴も昇進の差も、20年後の視点から見ればすべては「誤差の範囲」に過ぎません。
朝15分の「心のデトックス」: 嫉妬心や執着心に囚われそうになったときは、モーニングページを書きます。お気に入りのLAMYのボールペンをジェットストリーム化して改造し、ノート3ページに思いを書き殴ることで、悶々と悩む時間を物理的に減らしています。
白旗を上げる勇気
JTCという組織で「飼い殺し」にされるのは辛いことです。しかし、会社への期待という「白旗」を上げた瞬間、私は自由を手に入れました。
管理栄養士である妻(みこ)と、ASDの特性を持つ娘と共に、美味しいものを食べ、歴史や古典から知恵を学ぶ。そんな「半径5メートルの幸せ」にリソースを全振りすること。それこそが、レールを外れた後の「最高の再起」だと確信しています。




コメント