万年平社員の負け組サラリーマンの「カメ(夫)」が題名に惹かれ「<負け組>の戦国史」(著:鈴木眞哉)を手に取り読んでみました。
意外と負け組の戦国大名等もそれなりの後人生を歩んでいる事に安心した負け組サリーマンでした。
本書概要
戦国時代の守護大名、戦国大名の出自・関が原以前・以後、大坂夏の陣以前・以後等ごとに分類し、最終的に幕藩体制の300諸侯(大名)として存続できなかった大名毎に分類。
負け組となった理由、負け組となったタイミング(戦国大名として滅びた、豊臣政権まで残ったが関ヶ原で没落、関ヶ原で負けたが復活等)等の切り口で分類。
様々な切り口で分類し、最終的に切腹・刑死、旗本として存続、小大名として存続、帰農等の結果を記載。
感想
読みやすさ・内容
本書は歴史書や学術書ではないため、歴史好きの私から見ると概ね知っている内容でした。
本書を見て、この大名がこの結末になったのか!知らなかったというものはほぼありませんでした。
著者の鈴木眞哉氏は、公務員の勤務のかたわらに戦国時代の合戦の研究を行っていたいわば在野の研究者。
学術的な内容というよりも、歴史好きの人たちが知っている内容を体系的にまとめた一冊といったイメージ。
ただ歴史にあまり詳しくはなく、歴史に興味を持ち始めた人にとっては、あの大名は破れてから最終的にこうなっていたのかといった新鮮な発見はあると思います。
例えば美濃の斎藤道三で有名な斎藤氏ともともとの守護大名の土岐氏はいずれも江戸時代は仲良く旗本になっていた等。
負け方、勝ち組に一度はなったが負け組になった、出自等の様々な切り口で分析を行っているので、文書中に「前章記載ながら」というワードが結構見られます。
切り口での分析を重視するあまり、●●氏がどうなったかといった大名単位での読みやすさは少しなかったかな。
負け組サラリーマンの感想
命を切った張ったの戦国時代。戦国大名たちの負け組は、現代のサラリーマンとはくらべものにならないほど過酷なイメージ。
改めて本書で所謂、負け組となった戦国大名の行く末を見てみると、意外と刑死・戦死・切腹(実質的な刑死)等は少なく、旗本として存続が大半。
これは徳川家康が名家好きという趣向もあったとは思いますが、旗本・場合によっては北条氏のように小大名としての存続は、家の存続・プライドの観点からは屈辱だったかもしれませんが、生活面ではそれなりだったのかもしれません。
あとは他家預かりや他藩の家老としての存続等。
改めて戦国大名の負け組の行く末を見てみると、過酷な戦国時代といいながら、やはり日本は大陸に比べるとあくまで内戦なのである程度は穏やかだったのだなと思いました。
中国やヨーロッパだと一族全滅等が大半のイメージのため。
とはいうものの、日本史でも鎌倉時代は「族滅」というパワーワードが頻発するので、戦国時代は鎌倉時代に比べると日本人が穏やかになったのもしれないですね。
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