【書評】武器よさらば/ヘミングウェイ

うつ病再発防止に向けたサラリーマン生活
こんな人にお勧め

 古典文学を読んでみようかなと思った人

 激しすぎる戦場描写は読みたくないが、戦争を題材とした小説を読みたい人

 ラブロマンスを読みたい人

私が本書を手に取った理由

 第一次世界大戦を扱った名著である「武器よさらば」、「西部戦線異状なし」を

いつかは読みたいと思っていましたが、なかなか長編小説のため、

手が出せない状態が続いていました。

 図書館に行った際にふと本棚を見ると「武器よさらば」があったので、

このタイミングを逃すとまた読む機会を逸してしまうと思い手に取りました。

読む前のイメージ

 第一次世界大戦は、世界史始まっての総力戦。そして塹壕戦。

「西部戦線異状なし」や「ジョニーは戦場に行った」等の塹壕戦の悲壮さ、

 そして所謂、「英雄」や「騎士道」等がなくなった総力戦の中での

一兵士としての悲哀が描かれた小説だとイメージしていました。

 「武器よさらば」を手に取り読み進めていくとそのような戦争小説のイメージは

ガラッと変わることに。

武器よさらばの時代背景等

 500頁以上の長編小説であり、色々な人が感想・あらすじを書いていると思うので

さわりだけ。

 小説の舞台は第一次世界大戦ながら、ドイツとフランス・イギリス軍が激戦を繰り広げた

西部戦線ではなく、イタリアとオーストリアの山岳戦。

 時代背景は、第一次世界大戦後半の1917年にオーストリア軍がドイツ軍の援助をうけ実施した

大攻勢である「カポレットの戦い」前後。

 イタリアでは、「カポレットの敗走」と言われる歴史的な敗戦らしいのですが、

 第一次世界大戦で有名な「ヴェルダンの戦い」、「ソンムの戦い」に比べると日本での

知名度が低いのも事実。

 当然、戦場描写・戦いの描写はヘミングウェイ自信が第一次世界大戦のイタリア戦線に

従軍していただけあって、リアルかつ悲惨さが描かれてはいるが、

その他の第一次世界大戦を舞台とした小説・映画に比べると、

どこかしら「牧歌的」(特に前半)な雰囲気が漂う。

武器よさらばのあらすじ・主人公

 起(主人公はヒロインと出会う)

 主人公はイタリア軍に身を投じた義勇兵であるアメリカ人フレデリック。

階級は中尉。前線の戦闘指揮官ではなく、後方の衛生兵、病院設立等の後方部隊。

 軍医や大尉、神父等と最前線の少し後方で病院の設立、最前線から負傷兵の救護等

を行う。

 イギリス人看護婦のキャサリンに軽い気持ち(その場限り)で

ちょっかいをかけるが、恋仲に落ちる。

 キャサリンはいいなづけを戦争で亡くした女であり、少し影のある女性。

フレデリックと恋に落ちてからは、少し重い女。(でもすごく素敵な女性だと思います)

承(主人公は負傷し病院でヒロインと愛をはぐくむ)

 フレデリックは最前線の負傷兵を救護する任務中に部下、もろとも砲撃をうけ重傷に。

後方のミラノの病院に運ばれ手術受けることに。

 キャサリンも看護婦としてミラノに行くことになり、その病院で二人は愛をはぐくむ。

フレデリックの傷もいえ、再び前線へ。

転(主人公は大敗走に巻き込まれ脱走兵へ)

 イタリア軍の大敗戦であるカポレットの戦い・(イタリア軍の)敗走に

巻き込まれ、部隊とも離れ部下数人と逃避行を行う。

フレデリックはなんとかイタリア軍部隊に合流するも、憲兵に

「部隊と一緒にいない将校は部下を見捨てた脱走兵・裏切りものだ」と言われ

その他の部隊とはぐれた将校とともに即席軍事裁判で死刑となることに。

 フレデリックは銃殺される前に川に飛び込み逃避行のすえ、キャサリンと落ち合う。

その時にキャサリンから妊娠している事を告げられるフレデリック。

結(亡命スイスでのできごと)

名実ともに脱走兵となったフレデリックは、キャサリンとともにスイスに亡命。

 お金に余裕のあったフレデリック・キャサリンはスキー客のようなふりをして

スイスの山小屋・ホテル等を転々とする。

 キャサリンのお腹も大きくなり、陣痛が来たので、大きな病院へ。

キャサリンは帝王切開のすえ、子供は死産、そしてキャサリンも亡くなってしまう。

キャサリンと子供の死を医者から知らされたフレデリックは雨の中病院を出て歩き始める。

武器をさらばの感想

我々は残酷描写を見慣れすぎたのかもしれない

 武器よさらばは第一次世界大戦を舞台としている小説であり、戦場描写・負傷状況等

リアルに描かれている。

 主人公フレデリックが即席軍事裁判で即決死刑になり、脱走する様子はかなり

リアル。

 ただどうしてもその他の小説・映画と比べると牧歌的な雰囲気がぬぐえない。

 イタリア・オーストリア戦線ということ、周りが陽気なイタリア人ということも

あるのかもしれないが、即決軍事裁判のシーン等はもっと人間の残酷さ・えぐみを

その他の小説(ナチス関連)なら出していたような気がする。

 第二次世界大戦・ベトナム戦争等の多くの戦争小説・戦争映画、そして

よりリアルに、より残酷にを突き詰めていった末の現代人の我々は

残酷描写に見慣れてしまったのかもしれない。

パンとかワインを飲むシーンはお腹が空く

 フレデリックは療養中や休暇中にカフェやホテルでよく外食をします。

ワインの銘柄等はわからないですが、食事風景の描写が私はとても好きで

お腹が空いてきますね(笑)

コメント

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