「BtoBのルート営業なら、相手も企業人だから理不尽なことは言われないだろう」 「新規開拓がないから、人間関係さえ築ければ楽なはずだ」
就職活動中、あるいは転職を考えている皆さんは、そんな甘い言葉を耳にしたことはありませんか? 確かに、不特定多数の個人を相手にするBtoC(個人向け営業)やカスタマーセンターに比べれば、表面的な罵詈雑言や意味不明な怒声は少ないかもしれません。
しかし、JTC(伝統的大企業)の荒波に揉まれ、一度はうつ病でレールを外れた「万年係長」の私から言わせれば、それはあまりに楽観的な見方です。 ルート営業の現場には、「会社対会社」という看板があるからこそ逃げられない、特有の地獄が存在するのです。
今回は、私の実体験と、SNSに吐き出した愚痴をベースに、ルート営業に潜む「カスハラの真実」を暴きます
会社名の盾が通用しない「モンスター担当者」の存在
一般的に、BtoBのルート営業が「楽」だと言われる理由は、以下の2点に集約されます。
- 相手が法人名を背負っている: 偏屈な人でも、立場上大人な対応をするはず。
- 過去の信頼関係がある: ゼロからのスタートではないため、仕事がやりやすい。
(当初記事投稿の2023年にまとめてみた表)
| BtoB (ルート営業) | BtoC (個人向け営業) | 差異 | |
| 1 相手 | 法人のしかるべき担当者(法人名を背負っている) | 個人 | BtoBは、個人として偏屈な人でも会社名を背負っているので、言葉遣い等はBtoCよりまし(怒鳴られたり、理不尽な事は少ないはず) |
| 2関係性 | 会社と会社の付き合いかつルート営業の場合は過去の信頼関係がある | 初めての相手なので不明 | BtoBは過去の信頼関係があるからBtoCよりもやりやすい |
しかし、現実はそれほど単純ではありません。 会社名や「課長」「部長」といった肩書を背負っていても、言葉遣い一つでこちらの自尊心を削り、利害関係を無視して噛みついてくる人は確実に存在します。
かつて私がSNS(X)で呟いたこの言葉は、今でも同じと思います。
相手が「要注意人物」であるという引継ぎを受けていても、担当になった以上は逃げられません。突然キレる、無理難題を押し通す。そんな「看板を背負ったモンスター」に詰められる日々は、精神を確実に蝕んでいくのです。

要注意人物。突然切れるといった引継書を貰っても・・・。

そんな理不尽な人がいても上司が守ってくれるのでは?

そうは言えないのが現実社会・・・。
詳細は次章へ。
「会社や顧客から貼られたレッテルは、あなたの真の価値ではありません。今の環境が適切かどうか、一度プロの視点で客観的に分析してみませんか?外の世界を知ることで、理不尽な言葉を『誤差の範囲』として聞き流せる心の余裕が生まれます」
最も残酷な裏切り:「過去の歴史」が上司の口を塞ぐ
ルート営業において、担当者が最も絶望を感じる瞬間。それは、「味方であるはずの上司が、自分を守ってくれない」と悟った時です。
新規開拓や取引履歴の浅い相手であれば、あまりに理不尽な要求に対して「取引中止」という選択肢もあり得ます。しかし、数十年の歴史があるルート営業先では、上司はそのカードを切ることができません
むしろ、「過去の信頼関係」があるからこそ、上司は穏便な対応――つまり、部下に我慢を強いる対応――に終始します。
例えば、このような会話がなされる現場は、担当者にとっての「終わりの始まり」です。

●●さんが課長時代に、私はよくお世話になりました。
●●の導入の際はお互いに苦労しましたね。

●●さんが一生懸命やってくれたおかげであの件で弊社は助かりました。

絶望的だ!
ちなみに自分自身の担当先を変えて欲しいというのは、ルート営業では結構出世などでは致命的なので、最後の砦。
この和やかな雰囲気の裏で、担当者である私は顧客の無理難題に悲鳴を上げている。しかし、上司は過去の恩義や自分のメンツを優先し、現場の窮状を見ない振りをします。 「自分を犠牲にすれば、この場は丸く収まる」。そんな無言の圧力が、ルート営業マンを「うつ」や「精神疾患」へと追いやっていくのです。
【責任を押し付けられる不条理】
「要注意人物」の引継ぎという名の死刑宣告
ルート営業の恐ろしいところは、担当変更が極めて難しい点にあります。 「自分に合わないから担当を変えてほしい」という要望は、JTCにおいては「適応能力不足」と見なされ、出世街道からの脱落を意味する「最後の砦」です。
前任者から「あの担当者は突然キレるから気を付けて」という引継ぎを受ける。それはアドバイスではなく、「これから君がこの理不尽を一身に受ける番だ」という死刑宣告に他なりません。
「明日の顧客対応を乗り切るために、今夜だけは脳を休ませてください。良質な睡眠は、理不尽に対する最大の防御です。身体を整えることで、心の『しぶとさ』を取り戻しましょう」
生存戦略:企業の「採用HP」を信じるな
これから社会に出る就活生や、新天地を求める転職希望者の皆さんに、私から送れる唯一の具体的な助言があります。 それは、「企業の採用HPやリクルーターの言葉を、額面通りに受け取らないこと」です。
彼らは「風通しの良い職場」「ルート営業中心で安定」と美しい言葉を並べますが、そこには現場の泥臭いカスハラや、上司の不作為については一行も書かれていません。
就職先の「真の姿」を知る方法
答えは簡単です。転職サイトの口コミを徹底的に読み込んでください。
- 転職会議
- OpenWork(旧Vorkers)
これらのサイトに書き込まれた社員のコメントは、驚くほど真実に近いです。 「特定の顧客に振り回される」「上司が顧客にペコペコして部下を守らない」といった不満が散見される企業は、ルート営業の皮を被った地獄である可能性が高いと言えます
【もし心が折れてしまったら】
まとめ:組織にしがみつきながらも、個の誇りは捨てない
ルート営業は、決して「楽な逃げ道」ではありません。 過去の歴史という鎖に繋がれ、上司という壁に守られず、看板を背負ったモンスターと対峙し続ける。それがJTCにおけるルート営業のひとつの側面です。
それでも私たちが生きていかなければならないのなら、せめて「情報という武器」を持ってください。相手を知り、組織の構造を知り、そして何より、「人生はすべて誤差の範囲である」という哲学を持ってください。
たとえルート営業の現場で頭を下げ、カスハラに耐える毎日であっても、あなたの本質的な価値は、取引先の役員にも、あなたを守らない上司にも、決して奪うことはできないのです。
今日もしぶとく、図太く、生き抜きましょう!
「転職するかどうかは別として、市場に自分の名前を置いておく。それだけで、上司や顧客の理不尽に対する『心の優位性』が保てます。今の会社にしがみつくしかない、という思い込みから自分を解放しましょう」




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