【書評】この世を生き抜く最強の技術/わび著【新入社員へのお勧め】<大人の読書感想文>

40代夫婦の体験談

こんな人にお勧め・まとめ

 2024年4月1日、各企業での入社式。希望をもって入社している新入社員の中からも必ずメンタル不調(うつ病)等になる人は出てくると思います。

 うつ病で2回休職した私がお勧めする本「この世を生き抜く最強の技術/わび著~メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る~」。

私はうつ病にはならない、強い人間だと思っている新社会人にこそ読んで欲しい。序章から四章まであり、各章につき、10小項目程度から構成される本書。1項目は2~3頁であり、安易な口調で書かれているため250頁ほどであるが、すぐに読めてしまう。

 うつ病で現在苦しんでいる人よりも、うつになりそうな人、メンタル不調が続くなぁと感じている人にこそ読んで欲しい。

 またうつ病とは無縁だよ、仕事が順調だよという人にも仕事術や処世術について記載してあるので、お勧め。

ただし、各小項目は2~3頁なので、少し物足りない・深堀してほしいなと思う点もあり。

 なにはともあれ、幹部自衛官でエリートコースを歩んでいた著者が「逃げてもいいんだよ。100%の力で常に頑張らなくていいんだよ」と様々な言い方で語り掛けてくれます。

 戦闘行為を行う自衛隊出身のエリートがそういうなら、我々一般市民はそのとおり、辛い事から逃げてもいいんです。

 各章毎にうつ病を2回経験した私が心に残ったことを要約・説明していきます。興味のある方は是非どうぞ。

序章:エリート街道から地獄へそして奇跡の大復活

 筆者のエリートコースから上司によるパワハラ・長時間労働によるメンタルダウン、休職、復活の流れが記載されています。

 大学で考古学を学んだ筆者は陸上自衛隊の一般幹部候補生へ。小隊長・師団司令部といわゆるエリートコースを歩み、優秀賞等も受賞した筆者。パワハラ上司と出会い、不眠、机の下で大声を上げる等のメンタル不調へ。

 休職し、自殺まで考えた筆者は小さな成功等を積み上げつつ、メンタルを何とか回復。復職後のキーパーソンと出会い、これまでの出世といった考え方とは違う人生観を学ぶ。

 私も大企業に入社し、支社配属。支社で認められ所謂管理部門へと栄転し、そこで上司と折り合いがあわずうつに。筆者の気持ちが凄くわかります。うつになって休職する前は「自分の能力が足りないからだ」、「自分が悪いんだ」と自責の念ばかり募る描写は自分自身と重ね合わせてしまいました。

第1章:やばいときは即「おうち入院」で早期回復

 第一章の名前が『やばいときは即「おうち入院」で早期回復』とあり、「おうち入院」ってなんだ?と思うかもしれませんが、第1章はメンタル不調に陥りかけた時の心の持ちようを中心に記載されていまます。

 「おうち入院」の小項目は1項目だけで、これは入院生活を自宅で再現することであり、「激しい運動をしない、人と会わない、ゲームをしても22時に消灯し、ひたすら寝ること」。

 このなにもせずに寝るというのがメンタル回復に効くようです。

 この章ではメンタルが弱った時の考え方・行動を色々な角度から記載していますが、まとめると以下の3点に集約されます。

●正しい道ではなく、楽しい道を選ぶ。自分自身の考える「正しい」道に固執しない。そのためには「まぁいいか」と口に出して考えを柔軟にする。

●今に集中する。未来は予測不能だし、過去は変えられない。そのためには今に集中すべき。今に集中するには筋トレやランニングがお勧め(筆者は自衛隊体操なるものを勧めていました)

●なにもせずに休息する(おうち入院)

 この章を読んで感じたことは筆者はSNSには相談せずにおいた方がよいというのがギクリとしました。どうしてもうつ、メンタルダウンした際は実際の友人等に相談しづらく、Twitterで愚痴を記載しがちな私は反省。

 また筆者はお寺や神社巡りをして気持ちを落ち着かせたそうです。たしかにお寺や神社巡りはいいなぁ。私もやってみようかな。今を集中するという点では筋トレや瞑想はやはり効果があるようですね。その他、他人からどう思われるかに執着しないというのも大事だと感じました。

第2章:メンタルを削られない仕事術

 この章はメンタルを削られない仕事術=仕事の効率的な進め方について記載されています。メンタルとありますが、仕事術や自己啓発本等のその他ビジネス書でもお勧めされている内容が記載。

 この章はメンタル不調とは関係ない人にもお勧めの章です。概要は以下の通り。

●気持ちの持ち方:何を言っても反論しない人は舐められる。仕事を押し付けられ疲弊する。組織は各々の得意分野の集合体。苦手なことを克服するよりも長所を伸ばした方がよい。

●情報は武器になる:自分に直接関係ない情報でもほかの人にとっては大事な情報である

●結論から話す。

●わからないから不安になる。何がわからないかを明確にする

●平時は80%の力で働き、ここぞという時に100%の力を出す。

●仕事の進め方は①全体を俯瞰する、②優先順位を決める、③時間を区切る、④中間目標を設定、⑤明日できることは今日しない、⑥70%で一度上司に確認

 いかがでしたでしょうか。メンタル不調関係なく、仕事術、できる社会人になりたい新人にもぴったりの章となっていると思います。

 この章の中で私が感銘を受けたのは自衛隊では結論から話すことが徹底されており、「結論から話せ、今お前が戦死したらだれが報告するのか」と言われることや、F15戦闘機のパイロットは思考に一切無駄がないといった自衛隊内の逸話でした。

第3章:「一線超えてきたら撃ちますよ」の気概を持つ

 この章は標題は『「一線を越えてきたら撃ちますよ」の気概をもつ』ですが、大まかには以下の3点に集約されています①円滑なコミュニケーション、②苦手な相手への対応(一線超えてきたら撃ちますよ)、③人間関係における自分の心の持ち方

①円滑なコミュニケーション

 人間関係はどこでも村社会。円滑なコミュニケーションが大事。なんといっても挨拶は大事。挨拶は相手の存在を認めているということの意思表示。合意形成には自分の考え方はあくまで「たたき台」という意識を持った方がよい。何を言うかよりも何を言わないかも大事。

②苦手な相手の対応

 どう頑張っても合わない人はいる。ある程度コミュニケーションをとって「あっ無理」と思ったらさよならした方がよい。嫌な奴・図々しい人には「こいつは利用できない」と思わせるために思いっきり反論(一線超えてきたら撃ちますよ)が効果的。

③人間関係における自分の心の持ち方

 意見の異なる人には「そういう考え方もあるよね」と思う。人はあくまで他人7割程度を信用するのがよい、100%信用するのは危険。自分の機嫌を自分で取れるようになればメンタルは安定する。

 本書でなるほどと思ったのは、人とのコミュニケーションは相手の話をよく聞くことと一般的に言われるがなかなか難しい時は、「無線」でやり取りしていると考えればよいとの筆者のアドバイスでした。

 たしかに無線だと同時に話す事はできないので、相手の話を聞いてから話し始めることになります。相手の話の腰を折らずにコミュニケーションをとるのは「無線」と同じだなと感嘆しました。

第4章:一度死んだと思えばどこでもやっていける

 最後の章は転職を中心に記載されています。35歳転職年齢限界説や元自衛隊隊員は転職できないといったジンクスについてそうではないと著者は語ります。

 また年収を上げるには職場を変わるのが一番とも記載。年収1,000万円の人が年収500万円の人の2倍優秀というわけではなく、業界や会社が違うだけと著者は記載(→なるほど、そのとおり)。

 年間休日125日以上が働きやすい職場だよといった転職豆知識も記載有り。

 本章は私の心に本当に響きました。今の会社でうつ病を2回経験し、でも今の会社にしがみつくしかないと考えがちな私の心は結構晴れました。そうだアラフォーでも転職できるんだ。すくなくともいつでも転職できる状態にしておこうと気持ちが晴れ晴れとなったのが本章を読んですぐの感想でした。

 

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