最近、20代や30代前半の若者の間で「管理職になりたくない」という声が目立ちます。主な理由は、責任ばかりが増えて給料が見合わない、いわゆる「コスパ(費用対効果)」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」の悪さにあるようです。
私は現在40代。うつ病の再発防止に努めながら、出世競争からは早々に脱落し、会社の隅っこで静かに暮らしています,。そんな「脱落組」の私だからこそ見える、今の若者が直面している「出世拒否の落とし穴」についてお話ししたいと思います。
役職はなくても「等級」という選別は進んでいる
多くの若者が誤解しているのは、「管理職(課長など)にならなければ、平社員として横並びでいられる」という幻想です。
実際には、組織には「平社員」という大きなくくりの中に、厳然たる「等級制度」が存在します。
呼び方は異なっていてもいわゆる大企業では概ね以下のような分類(実際はもっと細かい)があります。
• 1等級:新入社員
• 2等級:入社2〜5年目程度
• 3等級:中堅(主任クラス)
• 5等級:係長クラス
たとえ「課長になりたくない」という態度を示したとしても、会社側はその態度を「成長意欲の欠如」と見なし、1等級から2等級への昇格、あるいは3等級への選別からあなたを外す可能性があります。
管理職になる・ならないの議論の前に、この「見えない等級」の階段から振り落とされると、生涯年収に数百万円から数千万単位の差がつくのが実態です。
30代の「拒否」と、新人の「拒否」は意味が違う
テレビのインタビューなどで「出世なんて興味ない」と答えている30代前半の人々は、実はおそらく「平社員としての最上位」にすでに到達している人たちです。
彼らが、残業代がつかなくなることや責任の重さを天秤にかけて「管理職登用を断る」のは、ある意味で合理的な「コスパの良い選択」かもしれません。
しかし、入社1〜2年目の新人が同じ態度を取るのは非常に危険です。 今の40代(おっさん世代)は、なんだかんだ言っても「万年係長」など、平社員の最上位までは行ける余裕がありました。しかし今は、30歳前後の段階で会社から明確に差をつけられる時代です。
「管理職にはなりたくない」という態度が、結果として「係長・主任クラスの給料すら得られない」という事態を招くリスクは認識しておいた方がいいと思います。
そのうえで、副業や転職といった別の道・別の軸をもつことはいいと思います。
職場の「感情的コスト」と価値観のアップデート
昔は社内飲み会が頻繁にあり、誰がどのような立ち位置にいるかが可視化されていました。しかし現在は、飲み会が減り(若い管理職も参加しないため)、人間関係の「感情的な無駄コスト」が増大しているように感じます。
例えば、若くして抜擢された課長が、役職定年で子会社へ移った元上司に対して傲慢な態度を取り、トラブルになるような事例もあります。出世にはこうした「人間関係の摩擦」というコストが常に付きまといます。
私自身、出世から遅れた係長として、会議では発言を控え、目立たないように生きています。一方で、同じように出世から遅れながらも、必死に挽回しようと会議で発言し続ける同僚もいます。しかし、彼は裏で「(自分が社内で終わっていることに気づかない)ゾンビ」と陰口を叩かれています。
自分が(社内的に)死んでいることに気づかない……。それはまるで、映画『シックス・センス』でブルース・ウィリスが演じた主人公のようです
私たちが選ぶべき「生存戦略」とは
私はもう、会社の中心で輝くことは諦めました。 かつては自分が出世から遅れるとは夢にも思っていませんでしたが、うつ病を経験し、今の「窓際サラリーマン」としての生活に落ち着きました,。
今の若者が「コスパ」を重視して出世を避ける気持ちは痛いほどわかります。しかし、以下の3点だけは覚えておいてほしいのです。
1. 「管理職拒否」は、最低限の「等級」を確保してからでも遅くない。
2. 新人のうちから「やる気なし」のレッテルを貼られるのは、コスパが最悪である。
3. 会社の外の世界(趣味や家庭、あるいは副業など)で自分の価値を見出す準備をしておく。
出世競争に負けても、人生が終わるわけではありません。ただ、「自分がどの位置にいるのか」という客観的な視点だけは失わないようにしたいものです。
皆さんのサラリーマン生活が、少しでも穏やかなものでありますように。

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