「電話は新入社員が真っ先に取るべきもの」 JTC(伝統的大企業)に根強く残るこの価値観は、今や「TELハラ(テレフォン・ハラスメント)」と呼ばれ、若手社員を震え上がらせています。 しかし、ここで一つ、JTCの闇に潜む「不都合な真実」を告白しましょう。
実は、30代後半の、それなりに修羅場を潜ってきたはずのおじさん(私)だって、電話はめちゃくちゃ怖いのです。
出世競争から脱落し、うつ病による休職を経て、新しい部署に流れ着いた私。そこで待っていたのは、相手先も要件も不明な「黒い受話器」からの先制攻撃でした。
※2021年の記事を2026年にリライトしています。

私が困った電話の数々を紹介するので、新入社員の気分転換になれば。
永遠の課題「会社宛ての電話は誰が出るべきか」論争
この「誰が出るべきか問題」に対し、世間の反応は大きく3つに分かれます。
- 新入社員が出るべき派:一番暇なはずだし、名前やマナーを覚える絶好の練習になるという「伝統的」な意見です。失敗しても新人のうちは大目に見てもらえる、という教育的配慮(?)も含まれます。
- 気づいた人が出るべき派:役職や年次は関係ない、すぐ出られる人が出ればいいという合理的判断です。何もわからない新人に取らせて相手を怒らせるより、わかる人が出たほうが早いというリスク回避の側面もあります。
- そもそも固定電話必要?派:一人一台スマホがある時代、強制的に相手の時間を奪う「部署代表電話」というシステム自体が前時代的だという、ITネイティブ世代の切実な疑問です。
私自身、かつて「エース候補」だった頃は、電話に出ない後輩にイライラしたこともありました。しかし、組織の「外」を意識し始めた今、どの意見も痛いほどよくわかります。

新入社員が電話に出んわ
「電話口の沈黙を、確かな『型』で守備する」 恐怖の正体は「何を言われるかわからない」という不安です。まずは言葉の「型」を身につけて、脳のメモリを節約しましょう。
実録:あなたの心を折りに来る「電話口の怪人たち」図鑑
電話が怖いのは、受話器の向こうに、こちらの常識が通じない「困った人々」が潜んでいるからです。
- 早口言葉の挑戦者:社名と名前が高速すぎて、三回聞き直しても「……株式会社の……様ですね?」としか言えない早口マスター。
- オレオレ詐欺(自意識過剰タイプ):名乗らずに「例の件だけど」とだけ言う人。初対面なのに「お前誰だよ」と突っ込みたくなります。
- あわてんぼうのサンタクロース:こちらの挨拶も終わらぬうちに、いきなり複雑な要件を捲し立てる人。
- 折り返し電話絶対拒否マン:「担当不在」と伝えても「じゃあ君が答えてよ」と粘る、無理難題の押し売り。
- 「俺を知らんのか」役員:名乗らずに「■■だけど」とだけ言う重役。大きな組織で他部署の役員など、すぐには思い出せません。聞き返すと「お前の名前を名乗れ!」と怒り出す絶滅危惧種です。

さらに難しいパターンとして「監査役」パターンあり。
正直、監査役まで名前覚えてね~よ。
なお、マイナーな部の部長や部付部長といった派生パターンもあり。
【本音】経験を積んだおじさん(私)だって、実は電話が怖い
世間では「最近の若者は電話を怖がって……」という声も聞かれますが、ここで一つ、JTCの片隅で生きる私(かめ)の本音を白状させてください。 実は、30代後半になり、それなりに組織の荒波に揉まれてきたはずの私だって、今でも電話が怖くてたまらないのです。
新入社員だった2000年代、まだオフィスに活気が(そして今以上の不条理が)満ち溢れていた頃から、電話は常に緊張の対象でした。 一度は「エース候補」としてバリバリ働いていた時期もあり、その頃は電話に出ない後輩に対して「相手の名前も聞かずにどうやって仕事を進めるんだ」と、心の中で苛立ちを感じたこともありました。
しかし、うつ病による休職を経験し、全く未知の部署へ「戦力外」のような形で異動した今、その恐怖心は鮮やかに復活しました。 誰がどの業務を担当しているかも分からず、周囲の人間関係も手探りな場所では、不意に鳴り響くベルの音は、平穏な時間を切り裂く「先制攻撃」でしかありません。 内線を回すだけのことでも「間違えたらどうしよう」と指が震えてしまう――。そんな等身大の弱さを抱えながら、私は受話器を取っています

私が新入社員の時は、メールにしてくれよと何度も思いました。
かめさんが新入社員だった2000年代においては、人差し指でPCを打っている部長が
まだいて、びっくりしたのを覚えています。
先輩もあまり電話対応について教えてくれないし・・・。
失敗しても大丈夫。「必要ならまた掛かってくる」という生存戦略
電話に怯える若手の皆さんに、私が40代でようやく辿り着いた「心の守り方」を授けます。
もし、相手の名前を聞き漏らしたり、取り次ぎをミスして相手を怒らせてしまったりしても、どうか自分を責めないでください。 相手は「必要があって」電話をかけてきているのです。あなたが少々失敗したところで、彼らは用件を済ませるために、必ずまたかけてきます。
失敗しても、それで人生が終わるわけではありません。 JTCという巨大なシステムの中で、電話の取り次ぎミスなんて、人生全体から見れば「誤差の範囲」に過ぎないのです。
まずは「電話に出る姿勢(もし取れなくても『あ、すみません』という申し訳なさそうな演技)」を見せておくだけで、組織の中では十分にやっていけます。 完璧を目指す必要はありません。大切なのは、あなたの心が折れないことです。
「ベルの鳴らない場所へ、戦略的エスケープ」 一日中、電話の音と不条理な調整に追われた週末。今のあなたに必要なのは、受話器の届かない静寂な空間かもしれません。
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まとめ:演技でもいい、受話器を取る自分を褒めてあげよう
2026年になっても、電話という不条理なツールはしぶとく生き残っています。 しかし、私たちはそれ以上にしぶとく、そして自分を大切にしながら生き抜かなければなりません。
例え電話応対が苦手なままでも、あなたの価値は1ミリも損なわれません。明日もまた、ベルが鳴ったら「ちょっとした演技」を交えつつ、適当にいなしていきましょう。
あなたの人生の主導権は、電話の向こう側にあるのではなく、常にあなた自身の手の中にあります。
※本記事は、2021年の執筆内容に、著者の最新のキャリア観と「人生は誤差の範囲」という生存戦略を交えてリライトしたものです。


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