【書評】海と空の軍略100年史 ライト兄弟から最新極東情勢まで(滝口英幸著)

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 当初、読む前のイメージとしては、飛行機の誕生から戦略・戦術の変化の著作をイメージしていました。

 二次元での戦闘から三次元への戦闘へ。

 ドレッドノートによる大艦巨砲主義から、ハワイ・マレー沖海戦等による航空母艦の時代へ。

 そしてアメリカの空母打撃群等のどちらかといえば、兵器や戦術を中心に解説した本かなと思っておりました。

 本書の前半の冒頭部分は、概ねそういった飛行機の誕生や大艦巨砲主義から空母への流れといった内容でした。

 全体といえば、どちらかのいえば国際政治を軍事目線で語るといった趣旨の本でした。

 前半は、日本とアメリカの太平洋戦争への突入・アメリカの戦争中の戦略、戦後処理といった国際政治の流れ。

 後半は、冷戦よりもむしろ中国大陸におけるアメリカの戦略のミス(国民党を見捨て、共産党の躍進を許した)や2016年までの米中関係にかかる国際政治の流れとなっています。

 特に後半は、原子力潜水艦以外の話は、ほぼ米中をめぐる国際的な政治の駆け引きの内容です。
  
 本著は2018年4月1日に初版の本で、トランプ大統領の就任の話などもありますが、概ね2016年までの国際情勢の流れを踏まえて記載されています。
  
 この著者は2023年の今、2020年のコロナ騒動等を踏まえ、新しい米中関係史をどう考えているか知りたいなと素直に思いました。

PS:最初は、ここ100年の兵器や戦術の変化等のミクロな内容を期待していたのですが、いい意味で裏切られた1冊となりました。でもよく題名を見ると「軍略」とあるので、戦術の話等はないはずなのですが(笑)。

 

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