本書の概要
著者は、岡内幸策氏。富士銀行を経て、不動産証券化やREIT等の資産評価、経営コンサルを行っています。
2017年6月の著作なので、2021年の今から読むとちょうどいい答え合わせになっています。フィンテック企業、仮想通貨等、今では常識となっている言葉がちらほら記載があります。
2017年を思い出すと、IOTやAIといった言葉は一般的に知られていたと思いますが、仮想通貨は正直、なんか怪しそうなイメージしかなかったです。たった5年で仮想通貨の世間でのイメージがガラッと変わったのは、流石に時代だなと思いました。
本書は、銀行員大失職という名前ではありますが、銀行員自体の問題に関する記載と銀行業界そのものに関する記載がやや混在してます。
子供への金融教育の必要性について
私の親世代では、銀行神話はかなり強く、同じ金融機関でも証券会社よりも銀行は頭一つ上の存在と認識していたようです。
そもそもある一定程度の年齢の以上の人は、株や投資にいいイメージを持たず、子供に投資について教える事に抵抗があるような気がします。
私自身もあまり社会に入るまでは、株や投資について勉強をしたことがなかったです。社会人になり、会社から生命保険の案内を受け、言われるがままに生命保険に加入したり、積立NISAやIdecoをする際に初めて証券会社に口座を作ったりと、行き当たりばったり。
仮想通貨がバブルと聞いて、慌てて仮想通貨を購入してみたはいいものの、どのタイミングで売却しようか、もし億り人になったら、確定申告をしないといけないなぁと杞憂に暮れる日々
子供世代には、複利の考え方、生命保険の選び方、貯蓄と投資の違い、さらには自分への投資(お金と時間の使い方)についても幅広く教えていく必要があると感じています。
3歳からの金融教育の本であり、お金の話をタブー視せず、マインドを作っていくのに最適。財産を奪われることもあっても知恵を奪われることはないという冒頭の話は、大人にとっても心に響きました。
読んだ感想
私が就職活動をした際には、やはり銀行は安定しているというイメージは強かったです。金融ビックバン以降であり、メガバンクも3行に集約化されており、銀行は絶対に倒産しないといった神話は既にありませんでしたが、それでも銀行は大丈夫といったイメージが強かったように思います。
本書を読んで、改めて考えてみると、従来の「銀行はある意味装置産業(金融システムの構築やそもそも全国に支店を作るのが大変)なので、参入障壁が高く、銀行業界内でパイの奪い合い・競争はあっても他業態から参入があるイメージはあまりないから潰れない(潰れても吸収合併される)」といった過去の認識が一掃されました。
今では、イオン銀行をはじめ、支店網を持たないネット銀行が当たり前であり、銀行は支店網やATM網の維持が逆に経営の重荷となっているようです。さらには、従来、ライバルと想像もしなかった仮想通貨やフィンテックの対応にも追われ、かつてのイメージした銀行員・バンカーは本書のとおり、今後消滅していくのかもしれないなと思いました。
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