【書評】蒼穹の昴/浅田次郎

40代夫婦の体験談

19世紀末。清朝末期を舞台とした浅田次郎氏の小説。「蒼穹の昴」という名前は聞いたことがあり、読んでみたいと思っていたので、手に取ってみました。

あらすじ

 貧しい農家出身の「李春雲」と郷伸(地方の知識階級。李春雲と同郷)の庶子である「梁文秀」の2名の架空の人物を軸とした物語。

 実在の人物である西太后や李鴻章、光緒帝、袁世凱等もこの2名と絡んでくる。

 上巻の前半は、梁文春が科挙の試験を受け、進士に合格する物語が中心。梁文春の科挙の受験のお供として李春雲は一緒に北京に上京し、自らの将来を考え、自ら宦官となる。

 上巻の後半は、梁文春が進士として出世していく様子、李春雲が西太后付の宦官として頭角を現していく物語。

 下巻は光緒帝の変法自強、戊戌の政変を軸に、進士・官僚として出世した梁文春と西太后付の宦官として出世した李春雲が巻き込まれ、自らの意思で行動していく物語。

 李鴻章・袁世凱等の中国史の大物も関係していき、政治の荒波・歴史の荒波に二人が飲まれ、乗って、歴史の狭間に落ちていく話。

感想

 歴史上、悪女と言われた西太后のイメージを払拭させる話となっている(あくまで小説です。以下、同)。

 また歴史上の評価が分かれる洋務運動の指導者で北洋軍の創設者でもある李鴻章や、中国史上、一応最後の皇帝(中華帝国)となった袁世凱等のイメージが変わってくる。

 上巻は、架空の人物である梁文春や李春雲のある意味、立身出世の小説の色合いが強いが、下巻は歴史上の事実(光緒帝による変法自強運動、戊戌の政変)を軸に物語は進むので、歴史小説度合が強くなっていくように感じた。

 西太后へ空想の中で話しかける乾隆帝の話は、ともかく、乾隆帝とカスティリオーネ、かるてぃリオーネの手紙は急に場面が変わるので少し戸惑うこともありました。

 とはいっても戊戌の政変といった歴史的事件を舞台に、西太后、李鴻章、光緒帝等の心情の動き、人間関係等を丁寧に(小説として)描いており、読み応えは抜群。

 いずれにしても歴史小説・小説として面白く2回読んでしまいました。

※李春雲の妹で、最終的には梁文春と日本に一緒に亡命することとなる怜々って可愛いと思った。

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