日本の地位(GDP予測等)は残念ながら外れ気味(涙)
本書においては2030年は、メガ国家群(米国、EU、中国、インド)
の世界となっており、日本単独では伍していくことができないとあります。
この予測は2022年の今でもほぼ正解。
ただ日本は、依然として研究開発費は高く、技術は高く、
イノベーションセンターとして位置づけられるとの指摘。
本著では2030年の日本のGDPの世界の割合は
2000年代同様10%弱(もしくは若干低下)と推計していますが、
2020年時点ですでに6%まで落ち込んでいます。
本書に記載あるけど、
2000年代の日本の研究開発費って
他国に比べても高かったんだなぁ。
・日本のGDPは予測よりも大幅減少
・日本のGDPは若干下がるが、一人当たりの豊かさはさらに向上と予測:大外れ
→一人当たりのGDPの低下が顕著。悲しいなぁ。
・日本の技術力は高く、イノベーションセンターとして活躍予測は外れ。
→残念ながらむしろ日本の労働単価が下がっており、イノベーションセンターどころか
技術は移転し、安価な労働力を提供する国になる可能性も・・・。
日本社会の構造・会社への考え方・・・外れ
本書においては、日本の会社の「長期雇用での人材育成」が
再評価され、優しい社会になり、「人を活かす企業」が増える等
これは残念ながら外れていますね。
本書が執筆された2007年当時も
ブラック企業は話題にはなっていましたが。
※2008年には「ブラック企業に勤めているんだが、もう限界かもしれない」
も出版されていますし・・・。
心理的安全性の確保とか
ブラック企業の社名公表とか
パワハラ防止の施策の充実化等もあると思うけど。
たしかにベタなブラック企業は表面上は
減った気もするが、「黒字リストラ」、
中高年の肩たたき等は当時は想定もしなかったような
優良・大企業でも当たり前になってきている。
少なくとも「長期雇用」の再評価はされていないよね・・。
・長期雇用が再評価されている→外れ
・ヒトを活かす企業が評価される社会→外れ。
2007年当時は、「退職代行」サービスが
大流行するような社会になるなんて想像もできなかった。
時代かな。
産業構造の変化・・・当たり
キャッシュレス社会の到来→2030年を待たず当たり。
モノづくりより価値づくりが重視される社会→当たり。
環境への影響が「財務」、「技術」等と同様に企業を判断する基準になる
→当たり
持続可能な社会の到来→まさしくSdgsが流行っている現在を見事予測
場の提供が重視→当たり
場の提供、内面の安心等が重視はとても当たっている
と思います。
いわゆる、オンラインサロン等が隆盛。
技術革新・・半分当たり、半分は未定
技術革新のうち、生態技術(医療、脳等)は外れ。
本書では、生物を模倣した技術、
生物工場(石油由来製品からバイオマス(生物)由来へ)、
生体エネルギー(バイオマスエネルギーの発展版)、
遺伝情報を活用した医療の一般普及等が例示として挙げられている。
これらは2022年段階では、(本書の執筆された)2007年と同じく夢物語。
一方、ロボット技術の発展、距離の克服(遠隔地会議の一般化、自動翻訳等)は
ほぼ正確に予測している。
コロナの影響もありましたが、遠隔地会議等が一部の大企業だけでなく、
一般にこれほど普及する世の中が来るとは2007年当時は想像もしなかったです。
普通に、オンライン飲み会とか普及していますが、
冷静に考えると2007年当時には想像もできなかったですよね。
ドラえもんの世界。
・生物・生体関連の技術の発展・一般化→2022年時点では判断できず。
・遠隔地の克服・自動翻訳技術の普及→ほぼ正確に予測している。
感想(未来予想は難しい/総力戦研究所を思い起こす)
日本最高峰のシンクタンクである三菱総研が2007年に予測した2030年の日本の姿。
当たっているものもあれば、2022年時点でおそらく外れそうだなと予想できるもの
もあり。
全般的に、日本は人口も減るし、メガ国家が今後隆盛するけど、日本独自の技術、
制度等で生き残れるといった前向きな記載。
日本最高のシンクタンクの三菱総研の予測も
外れるんだなぁ~。
いわゆる、「後出しじゃんけん」
っていうんだよ。
げ・・・。
やはりどうしても甘い予測というか有利な点に注目しがちにはなるようです。
「昭和16年の敗戦」にも描かれているとおり、日本の敗戦についてソ連参戦さえ予測した
総力戦研究所は凄い組織だったのなぁと改めて感心した次第です。
未来予測って難しい。
どうしても甘い予測をしてしまう。
人間って難しいな。
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