【書評】北京籠城(柴五郎)、北京籠城日記(服部宇之吉)

40代夫婦の体験談

 蒼穹の昴で知った会津出身ながら陸軍大将まで登った「柴五郎」氏。柴五郎氏については、「ある明治人の記録」にて彼の少年期から青年期までの事績を知りました。

 柴五郎氏といえば、義和団事件の際に、義和団および清軍からの北京の居留地・大使館の60日間におよび籠城戦が有名ながら、「ある明治人の記録」においては、そこには触れられておらず、色々探した結果、柴五郎氏が大正時代に軍事講演会で講演した内容を基とする「北京籠城」という書物を知り、さっそく読んでみました。

北京籠城

概要:「歴史の渦中にいた一人の日本人」が遺した貴重な記録

 明治期の陸軍軍人・柴五郎が、義和団事件当時の北京での籠城体験を綴った手記『北京籠城』。単なる軍事記録ではなく、混乱する清朝末期の中国、そして帝国主義の世界秩序の中で日本人が果たした役割を、当事者の目線から克明に描いています。

 『北京籠城』とはどんな本か?

  • 著者:柴五郎(しば ごろう)
  • 刊行:初出は戦前、平凡社 東洋文庫などで再刊
  • ジャンル:歴史的回想・戦記・ノンフィクション
  • 背景:1900年、義和団事件により北京で各国公使館が襲撃された。日本公使館付武官であった柴五郎は籠城戦の指揮・戦闘・交渉に深く関わった。

 柴五郎は、欧米列強の中で“唯一冷静で有能だった”日本軍人として、外国人の記録にも頻繁に登場します。

 義和団事件と籠城戦のリアルな記録

 本書は単なる歴史の事後報告ではなく、リアルタイムでの観察記録であり、柴五郎自身が銃を取り戦い、負傷者の手当てを指示し、時には公使を説得しながら籠城戦を生き抜いた姿が描かれています。

 兵力差、言語の違い、物資の不足、連絡の不備——混沌の中で柴は冷静に対処し続けました。記述は簡潔でありながら、状況の緊迫感がひしひしと伝わってきます。

感想

 大正時代の柴五郎氏の講演を基に作成された書物であり、戦前にまとめられた書籍のため、擬古文ともまではいかないが、最初は少し読みづらかったのが正直な感想。

 また北京籠城の日付毎の出来事が記述されており、歴史的な義和団事件における「籠城戦」の記録というよりも現地の陣頭指揮をとった柴五郎氏の目線で書かれている点にも注意。

 軍人らしく、戦闘記録が綿密に記載されており、読み進めていくと当時の戦闘場面が目に浮かぶような描写が多い。

 ただ当時の北京の外国人居留地や各国公使館の位置が頭に入っていないと、鳥瞰的な動きの把握は難しい。

 柴五郎氏は、自らの功績を語らず、日本人義勇兵・清国教民(義和団に迫害された当時のキリスト教信者の清国人)の活躍、イギリス・イタリア兵への称賛等が多い。

 外部(天津から北京に侵攻中の日本軍他、六か国連合軍)の動きを知るための清国人の伝令の漢気等も記載されている。

北京籠城日記/服部宇之吉

 柴五郎氏と一緒に籠城した服部氏の記録。服部氏は当時、北京に留学中に義和団事件が発生し、日本人義勇兵として戦った人物。

 服部氏の記録と柴五郎氏の日記は交差しており、より一層当時の戦闘の状況等がわかりやすい。服部氏は義和団事件後、博士になっている。


類似作品・関連書籍

  • 『義和団事件の真実』佐々木春隆(歴史的背景の整理に)
  • 『清国崩壊』 陳舜臣(小説形式で清末を描く)
  • 『坂の上の雲』司馬遼太郎(柴五郎も登場)

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